2018年12月14日金曜日

古道具屋のひとりごと



幸運は続くもので、またまた造りの良い四方盆・煎茶盆が入りました。

材は女桑でしょうか。
木味もよく素直な木目です。


日常使いの御膳としたり、ちょっとしたモノを置いておく用途だったり、来客時の菓子膳に使ったり。
いろんな活躍をしてくれそうな品です。





こういう物を眺めていると、木っていいなあ、としみじみ思います。


桜、松、栗、ケヤキ、トチ、セン、ホオノキ、キハダ、、、
それぞれに木目、色、硬さが違って、表情豊かです。






今の日本では、こうした木製品の原料となる材は少なくなり、貴重なものになりました。 

戦中戦後に木材の需要が増え、同時期に薪・炭から電気を使う生活に変わり、それまで大切に手入れされてきた天然林の多くが皆伐されて、スギ・ヒノキの植林に置き換えられました。

当時の人々が子孫の豊かな生活のためにと投資して始めた植林は今、採算があわないという理由で放置され、台風でなぎ倒され、土砂崩れの要因ともなってしまっています。 



今、古道具として手に入る良質な木製品たちの何割かは、その時代に大量に伐採された天然林の木材から作られたのだろうと思います。 

幸運な木材は、良い職人の手仕事によって素晴らしい品となり、今も美しい姿で出てきます。

私たちが伐りすぎた広葉樹を取り戻すために、しばらくの間は木を育てることに重点を置くならば、、、

新しい木製品を買うよりも、昔につくられた良いものを受け継いで使い続けることは、とても理にかなっていると思うのです。 

しかも、お値段も可愛い。(少なくとも、ツキヒホシでは。)




木皿、お盆、御膳、さまざまな漆器。

アンティークショップや弘法さん天神さんをのぞいてみたら、きっと素敵なものがたくさんあります。
新しく使い続けてくれる持ち主を待っています。 

古道具との出会いは一期一会。

ぜひ、いろんなお店に足を運んでみていただきたいなあと思います。



素晴らしい木製品に巡りあうたびに想う、古道具屋のひとりごと。